沿線シリーズ② 惜別の歌と西柴

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♪ 遠き別れに耐えかねて この高殿に上るかな

   悲しむなかれわが友よ 旅の衣をととのえよ

この詩は島崎藤村が明治30年に刊行された「若菜集」に収められた「高殿」という詩の一節でその前年に小諸を訪れたときに構想され出来た詩だそうです。この詩は「惜別の歌」として、戦後うたごえ喫茶や、カラオケでも多く唄われ又、小林旭のヒット曲として今でもよく歌われています。

島崎藤村は明治時代の文豪としてよく知られており、この歌も戦前から歌われていたものとしか思っていませんでした。ところが先日、20年ぶりに学生時代のクラス会をしたとき小諸からきたK君が私の住む西柴団地に来たことがあるというので理由を聞いたところ、小諸に「惜別の歌」の歌碑を建立するため作曲者である藤江英輔氏を訪ねたという。そこが私の家のすぐそばと聞き2度びっくりした次第です。

この歌は藤江氏が昭和19年の戦時中、中央大学予科学生時代に召集令状で戦地に向かっていく友人たちへの別れに思いをこめて「惜別の歌」と題名をつけたということです。現在、藤江氏は奥様をなくされ6~7年前に東京にいる娘さんのところに引越されましたが、西柴団地にこのような人が居られたということを多くの住民の方に知ってもらいたいと思い書かせていただきました。もし小諸のほうに旅に出られる機会があったら是非「惜別の歌」歌碑を訪ねてほしいと思います。

尚、写真などは友人から送ってもらった「惜別の歌:歌碑建立記念誌」から許可をいただき引用させていただきました。

2014年4月21日