94歳兒玉氏より元気を頂きました

 「椰子の実」をめぐる感動的なおはなしでした。

 「さくら茶屋」の長寿企画である西柴夜話も今回が99回目、そこで長寿にふさわしいと今回登場いただいたのは西柴在住・大正生まれで令和に入り4時代目に入った94歳の兒玉孝男さんでした。
 台湾で生まれ育った兒玉さん、北回帰線が通過する「嘉義」の町の話から始まりました。戦前の話は、必然的に戦争の話がでてきます。お兄さんを戦争で失われたこと、21年に日本に引き揚げ、和歌山の田辺に降り立った時に機関銃を構える若い米兵に衝撃を受けたが、ひるまず話しかけたら、多少の日本語も理解していることにさらに強い衝撃を受け、その後の戦況を振り返っても「日本は情報戦」で大きく立ち遅れていたことを実感したとの思いを語ってくれました。
 その後、感動的な「椰子の実」に話は続きます。島根県出雲出身の陸軍所属 山之内辰四郎さん、昭和19年、戦況が悪化し望郷への思いから「椰子の実」に友人と自分の名前を書いてそのまま海に流した。その後山之内さんは戦死。しかし、海に流した「椰子の実」は実に31年間も海を漂流し続け、島根県の浜へ流れ着いた。それが奇跡的にも友人であった飯塚さんにわたり、山之内さんの家族とも対面できたという話でした。そのお話の最後に兒玉さんのリードで藤村の「椰子の実」を全員合唱しました。
 交流会では皆さんから「長寿」への秘訣が質問され、その問いにはすかさず「人生、好奇心が大切、常に何故という疑問をもって探求する意欲が大事」と強調されていました。いくつになっても何事にも挑戦する兒玉さん、参加者が大いに元気を頂いた夜話でした。

 

2019年6月15日